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(水樹と草谷。苗字が並ぶと物凄い共存っぽいというか仲間感が凄いけど、
実際は真逆というか。それこそタイトル通り水と油。決して分かり合うことはない2人。
水樹は草谷に特にこれといった感情を持ちませんが、事情を知らない人間の中では、
今の所一番草谷の本質に気付いている男。だから草谷を真っ直ぐなわんこ、とは思えない。
草谷は水樹に嫉妬してる。一方的に愛されているから。
何で草谷が瑠華ちゃんを知ってるかといったら、単純に二人が一緒にいるのを見た事があるから。
しょっちゅう迷子になる草谷は割と高頻度で裏庭に出ます。ちらっと見た事があったりとか。
逆に、水樹の傍にいる瑠華ちゃんという存在を知らなかった頃は普通に地結の親戚レベルの認識。
この話の後も、割と2人はこんな感じ。友情とはとてもいえない、互いに億劫と感じる存在。
でも決して仲が悪いってわけではない。会ったら一発触発っていうわけでもない。妙な関係。
この一件が切欠で、水樹は瑠華ちゃんという心を占める割合が日に日に増している存在のことを、
しっかりと真正面から考えるようになります。自覚への第一歩。そういう意味では草谷キューピッド。
ちなみに地結は草谷と水樹の曖昧な関係を確り分かっています。分かった上で面白がってる。
卒業前に曖昧だった3年生男子トリオの関係性を明確にしたかったから書いた文です^q^
砂と草と水。地と宙と空。なんとなーくぼんやーりと同類っぽさが伝われば嬉しいです(爆)
暇潰しにもならない文章ですが時間がありましたら追記よりー!
またかなり間接的にですが蜜樹ちゃん宅の瑠華ちゃんをお借りしています><)
「あれ、水樹じゃねーですか」
「―――げっ」
放課後、裏庭。勝手に水樹が定位置として常に独占している、一番端の大きな木の下にて、2人は何とも奇妙な形で遭遇したのだった。
□□□
勢い良く草谷が出て来たのは、水樹がもたれている木の真横―程ほどに手入れが施されているとはいえ、雑多とした草むらからだった。流石の水樹も思わず声こそ出さずともびくっと大きく肩を揺らしてしまった。
「水樹がいるってことは、ここは裏庭っスか。いやー知ってる場所につけて良かったです!」
「………、」
お前は知ってる場所でも迷うだろうが、という言葉を水樹は強引に飲み込んだ。言った所で草谷の極度の方向音痴が治るわけではないし、そもそも水樹は余り草谷が得意ではなかった。というよりも、こうやって一対一できちんと話すのは初めてのことだ。普段なら間には水樹の親戚であり草谷の親友である砂原が間にいるのだ。だからお互いの認識といったら、それこそ砂原の親戚、砂原の親友、ただそれだけであり、水樹と草谷に直接的な結びつきは無かった。
「地結が校舎裏にいるっていうから行こうと思ったんスけど…、なーんで裏庭に出て来ちゃったんですかね?」
「…………、」
水樹が何も返事をしなくとも、気にせず重ねるように草谷はぺらぺらと言葉を並べる。元々が無口の水樹と元々がお喋りな草谷。このような図になってしまうのも仕方が無いと言えた。しかし水樹が何の反応も示さないのはもう1つ、至極シンプルな理由があった。
水樹は草谷が苦手だった。
ただそれだけであるものの、水樹にとって苦手というのは有る意味特別な感情だった。基本的に水樹は他者に興味を持たない。そして同時に対人関係は竹を割ったようにはっきりとしている。好ましい人はそれなりの距離感を許すが、どうでも良い人、気に入らない人には目も向けない。苦手、という少し曖昧な境界線を設けることなど、本来の水樹ならしないのだ。しかし水樹にとってこの草谷という男。一言で言うなら得体の知れない男、である。いつも何やら楽しそうで、確かに方向音痴は困ったものだがそれすらも個性と思わせるような愛嬌を持つ。現に今だって、つれない態度の水樹にめげたりする様子もなく、そもそも気にする様子もなく口は動いている。しかしやはり水樹には、どうも気味が悪かった。親戚の砂原のように、いつもにこにこと口角を吊り上げた表情を貼り付けているわけではない。喜怒哀楽は至って明確で感情は豊かな男だろう。しかし吐き出される言葉に、偶に何の感情も、意思すらも篭もっていないような薄っぺらさを水樹は感じていた。水樹は人を避けたがるからこそ、人をよく見る男だった。
「ってか水樹、こんな所で1人寒くないんです?ただ携帯弄ったりゲームするだけなら寮に戻れば良いのに」
「………、」
「あ、それとも」
「……?」
「誰か待ってる、とか?そーっスねぇ…それこそ女の子、とか!」
「っ、な、はあ!?」
「あっは!やーっと喋ったっスね!」
驚きのあまり突飛な声を出してしまった水樹に、満足そうにケタケタと草谷は笑う。その言動に薄さや影は見当たらない。水樹は一気に表情を顰めると、元々悪い目付きを更に鋭くさせて草谷を睨みつけた。
「茶化すつもりならさっさと消えろ」
「茶化してなんかないですよ?」
「、…は、」
「知ってますよ?、最近水樹と仲が良い女の子…、オレあんま見覚えないから後輩ちゃん、ですかね。まぁそれはともかく…、いるっスよね?」
にっ、と笑みを浮かべる草谷。傍から見たら無邪気にも見えるそれは、真正面から直視している水樹には酷く歪で底の見えないようなそれだった。同じ笑みでもこうも変わるか、と水樹は思ったが、それは砂原にも通じるものなのですぐに考えを霧散させた。ここで水樹は困った。なんて言葉を返せば良いのか分からなかった。仲が良いのかは、分からない。しかし、いる。気付けば視界の中に入り込み、ゆっくりゆっくり、しかし確実に水樹の心に住まいを作り始めている年下の女の子が、水樹の傍にいる。その存在を水樹自身どう表現すれば良いのか分からなかった。そしてそれを草谷に言った所でどうなるか、少なくとも利点は無いと水樹は悟り、ひとまず黙ることにした。
「あーあ、やっと喋ったと思ったらまただんまりですか。もぉ、オレの1人遊びみたいじゃねーですか」
「……、」
「そうやって、その子にも1人で喋らせてるんスか?」
「…は、」
「そうやって、その子の優しさに水樹は胡坐かいて甘えてるんですか?」
いつもの明るいノリでも軽いテンポでもない言葉。気付けば草谷の表情からは笑みが消え、水樹が見た事もない―酷く冷め切った表情を浮かべていた。そしてその声も、普段のきゃんきゃんと犬を連想させるような喧しさを含ませたそれとは違う、鋭い針のような、静かでかつ鋭い声音だった。
「水樹って、アレですよね。周りからすっごーく甘やかされてるのに、オレは1人で充分だーって思ってる系男子でしょう?」
「ちが、」
「本当にタチ悪ィっスよね、そーゆー人。見てて本当にイライラする」
「そのくせ、自分からは好意なんて滅多に出さない癖に他人からの好意にはおんぶに抱っこで甘えて寄りかかって。ツンデレとか表現すれば許されると思ってません?」
「一度自分に手を差し伸べてくれた人間は、もう離れることはない、…なーんて勘違い、まさかしているわけじゃないですよね?水樹ともあろう男が?」
「なんでアンタは、その好意に甘えこそすれ、素直になろうとしないんですか?ただ一言、素直に思いを返すだけできっとその子も、周りの奴だって満足するっスよ」
つらつら、正にマシンガントーク。水樹に合間に口を開かせる隙など作らない、草谷の言葉達。どれもこれもがまるで水樹を非難するようなそれで、相変わらず視線も声も冷ややかだ。しかし水樹の頭は追いついていなかった。何故会って早々こんなことを言われなくてはならない?そもそもどうしてこうなった。そんな考えがぐるぐると水樹の頭を駆け巡る中、草谷は途端に表情をくしゃりと歪ませて呟いた。
「オレがアンタだったら、1人で喋らせたりなんか絶対にしないのに」
「オレがアンタだったら、その子の好意を全部受け取って大事にするのに」
「…なんでアンタが愛されて、オレは愛されないんですか」
草谷は今にも泣きそうな表情で、搾り出すような声音で呟いた。結構な至近距離にいる水樹ですら聞き取るのに少し苦労したその呟きは、まるで先ほどのマシンガントークを要約した言葉のように聞こえた。水樹には、やはり草谷が言いたいことが全ては分からなかった。そして何て声をかければ良いのかも分からなかった。しかしそれは杞憂だったと知るのはすぐのこと。
「―なーんてね!ふっふーん、ビックリしたっスか?今のぜーんぶ冗談ですよ?無口なのも言葉じゃなくて行動で好意を示すのも、水樹の良い所っスよね!」
先ほどの凍てついたような表情と声はどこへやら、草谷はいつもと変わらぬ明るいトーンで、にぱにぱと人懐こい―それこそ犬を連想させるような愛らしさを含んだ笑みを浮かべては、ピースサインをしながらドッキリ大成功っス!なんて口にしている。その姿は先ほどとはまるで被らず。思わず呆けてしまったものの、それでも水樹は尚一層、草谷という男に対して歪さを拭えなかった。
「そうだ水樹、寮ってどっちの方向ですかね?、流石に寒いんでオレは帰るっスわ」
「……、真っ直ぐいって、校舎を突っ切って、左に曲がってあとは道なりに進むだけだ」
「りょーかいっス!ありがとうです水樹、助かったっス!」
お礼と共にすくっと立ち上がった草谷は、水樹の示した方向に足を向けてひらりと手を振った。傍から見るととても爽やかで、何も知らない女子がいたなら少しそわついても可笑しくないそれに草谷も砂原と似るその容姿は決して悪くない、寧ろ上物だと客観的に水樹に悟らせた。そして軽快な足音を立てながらたったと小走りで校舎の方へと走り去ろうというその時。
「……草谷、」
「ん?、なんですか水樹!」
恐らく初めてであろう、水樹からの声かけに少しだけ嬉しそうな表情を浮かべながら草谷が振り向く。水樹は長い前髪の奥、濃緑の瞳を細めながら口を開いた。
「お前、性格腐ってるな」
吐き捨てるように呟かれたその言葉に草谷は思わずぽかん、と呆けては目をぱちぱちと瞬かせる。しかしすぐに、先ほどの懐こい笑みを剥がしては、今の水樹にとってはデフォルトの愛らしさ有る笑みよりも余程“らしく”見える、温度の感じない笑みを貼り付けて小さく嗤った。
「褒め言葉っスよ」
水と油
(決して混ざり合うことは無い)
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