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今だから、伝えられる事。
拝啓 プラチナ・ハーンコットン様
徐々に新緑も鮮やかな緑に移り変わり、日差しが厳しい時期となりました。
貴女は今、いかがお過ごしでしょうか?
私は今まで、幸せとは貴女と過ごした10年間と、その想い出だけだと思っていました。
それと同時に、貴女と過ごした10年間は、私にとっての全てでした。
貴女がいるだけで幸せで、貴女がいるだけで生きていけるって、そう思っていました。
例え貴女との時間を家族に否定されても。
例え貴女が私との愛に依存心を抱いてしまっても。
例え貴女が、自分自身を投げてまで、私を縛り付けたとしても。
幸せでした。とても。とても。
でも、それと同時に。私の心はそれ以上の時を刻む事はなくなりました。
何年経っても、身体だけが老化していって心は何にも変わらない。ただ只管に貴女を思い続けていました。
その事に客観的に気付いたのは何時の事だったか。
このままじゃいけない。そう分かっていても、私は前に進もうとはしませんでした。
進みたいなんて、思いもしませんでした。しなかった、はずなのに。
どれくらいの時が経ったでしょうか。
今でも貴女の顔は鮮明に想い出されます。
でも、
貴女との想い出だけは、思い出、だけ、は。
段々と色褪せていくのです。鮮やかな色合いを失い、段々とセピアに近付いていく。
最初は、それがとても怖かった。それが人の摂理なんだとしても。とても怖かった。
貴女との幸せが褪せてしまったら、私は何に縋って生きていけば良い?何に縛られれば良い?
考えて、悩んで、泣いて、喚いて、叫んだ。
―――それから何があったかは、貴女はまだ知らないで良いでしょう。
私が、貴女の元へ行けた時、全てをこの口から語りたいから。
字にするなんて、手紙という形にして残すなんて、野暮な事はしない。
いや、その前に。貴女は日本語が、この字が…読めないでしょう。
貴女には、私の名前と、“幸せ”という文字しか教えた事がなかったから。
貴女はもっと日本語を知りたいと言いましたが、私はそれはしなかった。
それは、もしかしたら私なりの貴女への独占欲だったのかも、なーんてね。
貴女は今、いかがお過ごしですか?
あの時と同じ可愛らしい笑顔を浮かべていますか?
人を包み込むような優しさを、今も持っていますか?
私は幸せです。
貴女と居た時と同じくらい、いや、それ以上に。
私は、幸せです。
敬具
古太刀 真珠
未来を語る人
(誰にも見付からないように、その手紙を懐にしまった)
(いつ、この手紙を渡す事が出来るんだろう?)
(でも、そんなちっぽけな事に悩む前に、)
(未来で会えるであろう貴女に笑顔を向けられるように、)
(“現在”をがむしゃらに生きようか)
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