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ゆめを見るユメを視る

某掲示板サイトでの我が家の阿呆共のどーでもいいお話。

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林檎園へ招待
 

知りたがりと博識。


(元はただの会話文ネタだったので、ほとんど会話文が密集しています。
途中でうだうだとルビーが説明してますが、
かなり要約していたり、間違っているかもしれない箇所があるかもしれないので注意!
そしてスタート地点とオチが綺麗に行方不明になっているのでこれまたご注意を)

 

ふわりとスカート翻し、
向かうはあの子がいる葬儀屋さん!
もくもくと空へ昇る白い煙がミチシルベ。

寡黙な彼女は、今日はどんな事を教えてくれるのかしら!




林檎園へ招待



ようやく見慣れて来た入り口を通って、受付の方に歩けば見えて来た人影。
パタパタと足音を鳴らして近付けば、それに気付いた受付の娘がゆっくりと顔を上げる。

「ルビー!」
「……クリスタル」

にっこりと満面の笑みを浮かべる少女…クリスタルとは対照的に、
何も感じていないのかと錯覚してしまいそうになるほどの無表情を携えている娘…ルビー。
端から見れば何て歪な光景だろうかと思うが、クリスタルは依然楽しそうな笑みを浮かべたまま。
ルビーはゆっくりと首を横に傾げながら静かに問いかけた。

「今日はどうしたんですか?」
「あのね、知りたい事が有るの!」

ルビーの質問を聞き、待ってました!と言わんばかりにぱっと増々クリスタルは表情を明るくする。
その笑顔を見てルビーは薄らと目を細めた。嫌悪感のそれではない。ルビーには、その笑顔が眩し過ぎただけだった。
はたりと帰って来た答えを思い出し、ルビーは細めていた目をゆっくりと開いて行く。その視線の先には未だ笑顔があったが、
暗闇に目が慣れたような感覚なのだろうか。今度は背ける事などせず、じっとクリスタルの瞳を見詰め返す。
そこには少女特有の幼さと、満ち溢れた好奇心を窺う事ができ、思わず内心ルビーは苦笑した。勿論、表情は無いままなのだが。


「今日は何が知りたいんですか?」
「たくさん有るのよ!えっと、まずね、」

クリスタルは勿体ぶるように一度言葉を区切ってから、ゆっくりと深呼吸する。

そして、口を開いた。

「どうしてお空は青いの?」
「空気が青や紫等の色を散乱させ易いからです」
「どうしてゴムはびょんって伸びるの?」
「ゴム炭化分子が色々しているからです」
「どうしてエメラルドは素直じゃないの?」
「根っこがひん曲がっているからです」
「どうして猫さんの尻尾はゆらゆらとしているの?」
「感情が詰まっているからです」
「どうして雲は白いの?」
「光が乱反射しているからです」

余りにも。余りにも、脈絡のない疑問の数々。
それをクリスタルは思ったまま口にして、ルビーはそれに淡々と、しかし確実に答えて行く。
この2人の行動は、別に珍しいものでは無かった。クリスタルは不思議が溜まるとルビーの元を訪れ、こうして答えを請う。
それが何故ルビーなのか。それはルビーがクリスタルの知る人間で1番博識だから。
頭の回転が速い人、記憶力が良い人、柔軟性が高い人、発想が豊かな人。それならクリスタルの周りに腐る程にいる。
寧ろそのような人物しか居ない。暗殺業を専門とし、生業にしている人間の集まりだから当然の事と言えば当然なのだが。

だが、クリスタルの不思議を全て解消してくれる人は中々いない。
ろくな学校教育を受けて来なかった人間が多い事もあり、それも仕方がない事だが。
それ程までに、クリスタルの疑問は色々とごちゃ混ぜだった。哲学的だったり、思想的だったり。

しかし、その全ての不思議を解消出来る人物がいた。
それが、元を辿れば恩人の幼馴染みであるルビーだっただけの話である。

「どこから波はやってくるの?」
「風が水面を揺らす事で発生しています」
「ルビーは一体何をしているの?」
「葬儀屋の受付と事務です」
「どうして資料が散らばっているの?」
「ここを追いかけっこという名の嵐が通ったからです」
「サイケデリックって何?」
「主に麻薬などによる幻覚等でトリップしているような状態を指します」
「どうしてルビーしか此処にいないの?」
「皆さん自分の仕事をしているからです」    

エトセトラ、エトセトラ。
クリスタルの不思議は止めどなく溢れ出て来る。
それこそ地から吹き出す地下水のように。もしくは、爆発前の活火山のマグマのように。

楽しそうにクリスタルは問いかける。それに悠々とした様子でルビーは答える。
一問一答。異常な光景に見えるかもしれな程のクエスチョン空間。疑問にまた疑問を重ねるアナグラム。

そこにピリオドの音が響いたのは、クリスタルが訪れて2時間以上経ってからの事だった。

「…ふぅ。どうもありがとう、ルビー!」
「どういたしまして」
「とってもスッキリしたわ!本当に本当にありがとう!」
「……これぐらいならいつでも良いですよ」

暗にまたおいで、と言われたクリスタルはそれは嬉しそうに表情を綻ばせる。
クリスタルは自由奔放だった。その奔放さは、ルビーの義兄に負けず劣らずと言える程の。
だからだろう。またクリスタルは好奇心が惹かれるままに歩み始めようとする。

「それじゃぁまた来るわねっ、」
「…あぁ、そうだ…待って下さい。クリスタル」

手を振ろうと手を挙げるも、ルビーの呼びかけにその動きは止まった。
代わりにきょとんとした不思議がる様子を隠す事なくルビーの続く言葉を待つ。

「仕事を終えた“帽子屋”が、裏庭でお茶会をしているそうですよ?」
「……っ!」

ルビーのぽつりと口にした一言に、かああっとみるみる内に頬を紅潮させていく。
そして辺りをきょろきょろと見渡し、うぅーっと少し唸った後。にぱっ!と笑みを浮かべて。

「お邪魔してくるわね!」

そう言って軽やかなステップと共にクリスタルは駆け出して行った。
嗚呼、本当に奔放な子だ。ルビーはそう思いながら、思わず頬を緩ませた。
しかしそれもすぐ無表情に戻り、2時間以上止まっていた作業の手を再び動かそうとしたその時。

「よォルビ。何か楽しそうじゃねェか」
「……義兄さん」
「クリスが来てたんだって?お疲れさん」
「…いえ、そう言われる程でも無いです」
「そか?でもお前喋んの苦手じゃん。マッド辺りと話したら喋れねーし」
「それは…そう、ですけど。…でも、」
「でも?」
「彼女の不思議を満たすのは、…中々楽しいです」
「……そか。楽しいなら良かったじゃねぇか」


ぽんっ、と。
静かな空間の中に、優しい音が響いた。 




知恵の実、ひとつ。

(彼女と話していると、お腹がいっぱいになるの)
(まるで、知恵の実を食べているような気がするわ!)



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