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ゆめを見るユメを視る

某掲示板サイトでの我が家の阿呆共のどーでもいいお話。

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保健室の喧騒

何を思い立ったかいきなり学パロ。大晦日なのにね!
特に変わった事もない、普通の日常。静寂の中に潜む喧騒。

保健室の女王な養護教師のエメラルドと、自称爽やか家庭科担当教師なパールの雑談。
別名:効率の良いエメラルド保健室の利用方法講座

…つかもはや先生パロじゃねぇ?とかのツッコミは受け付けませんよぅ☆(う ざ い)
実はこの記事、6月に途中まで書いてそれ以降存在をすっかり忘れてたものなんでs(爆)
なんで前半と後半で文字の書き方に違和感感じたら申し訳ないでs(ちょ)

いたいいたい地味にいたい!

太陽がもうすぐで真南に差し掛かろうある時、授業中ゆえにシンッと静まった校舎内を、大きな図体が走って行く。
だらりと指から滴る血を、床に零さないように必死に押さえながら向かう場所は只1つ。
もちろん、“あそこ”へ行く為に必要な“アレ”をポケットに入れておきながら。

「ラルドォッ!ばんそーこ!ばんそーこー!」
「まずノックをしなさい!」

ガラリと扉を勢い良く開けた瞬間、飛んできたキツイ声でのお咎め。
男はうぐ、と言葉に詰まってから、馬鹿正直に一度外へ出て、ノックをしてから再び“保健室”と書かれたプレートのある一室へと入り込んだ。

「ばんそーこ!」
「ああもう五月蝿いわね!そんな大声出さなくても聞こえてるわよ!
っていうか何、そんなに深い傷なワケ?つか何したのよ」

図体が大きな男教師の名をパール・クラシカルと云った。
一見すると体育教師や用務員などの力仕事をやっていそうな体格の良さと、ちょっとした爽やかさを持つが、その実、担当している科目は家庭総合科。
着任した当初はそのギャップに驚く生徒も多かったが、今となってはすっかり学校の主夫である。

「いやな、調理実習が5,6限目にあるから包丁研いでたんやけど、そしたらすべってこう、ザックリ?」
「ザックリ?じゃないわよ。家庭科教師が何馬鹿やってんの?あー、もう面倒臭いわね。ほら、指を心臓より上に上げなさい」

のほほんとした口調で結構痛そうな過程を口にしたパールに対し、先程から容赦なく辛辣な言葉を吐いている女教師…もといエメラルドは、またもやキッパリと言葉を返す。
パールは辛辣やなぁと苦笑しながらぼやくも、きちんと指示に従って血が流れる指を自身の心臓の位置よりも上に固定させる。
その間にどこからか眼鏡を取り出したエメラルドは、立ったままその手をパシッと軽く掴んでまじまじと傷口を見詰めた。
これがエメラルドなりの診察であり、基本的にエメラルドは立って診察をする。
自分が動く事で、患者は動かず、患部も刺激させないで済むから…が、エメラルドの弁である。一応心根は優しいのだ、一応。

診察して貰っている、というだけで大分先程までの焦燥感が落ち着き、ぐるりと保険室内を見渡す。
私立高校の保健室というだけあり、結構な広さを有している。
しかし、元来のイメージとして上げられる白さよりも、遥かに目立つ存在があった。

ふりふりふり。ひらりひらりひらり。ずらりずらりずらり。
靡くカーテンは白いレースで縁取られ、清楚なイメージを出す為に大体は白い筈である壁は薄い桃色。
更に棚の上やベットの枕元を始めとして、所狭しと並んでいる大中小のぬいぐるみ達。
いかにも“夢見る少女”というのを全面アピールしているような内装の数々。それは完璧に保健室のそれでは無かった。

「相変わらず凄い部屋やね…」
「何か文句あんの?」
「いーや、御座いません。診察頼みますわ」

じろっと訝しげに睨み付けてくるエメラルドの視線をスゥっと逸らしながら、しゃあしゃあとした様子で診察を促すパールに、エメラルドははぁと呆れたようにため息を吐いた。
勿論パールは、その溜息を聞かないことにした。

エメラルドは校内でも有名な「乙女趣味」だ。
ぬいぐるみに全身の愛を注ぎ、女の子がいかにも好きそうな桃色や可愛い物を愛し、口ではいないと公言している「王子様」を実は信じている。
女の子が1度は夢見そうな妄言を22歳の今までしっかり信じている。良く言えば純粋無垢、悪く言えば少し痛い娘、だった。
しかし常識は相応に備えており、実際は真面目で現実的な面もある…というより明らかにそちらが先行している為、本性を知った人物は少なからず驚くのが現実。
パールさえ最初はそのギャップに大層驚いたものだ。まさかこの現実主義がそんなメルヘンな思想だったとは!と。しかし慣れてしまった今では寧ろ日常。
学校でも常識として認知され、当然の出来事となり、この保健室の過度の装飾もスルーされている。
エメラルドの趣味一色であるこの保健室は、言うなればエメラルドの「城」だった。

さて、話を戻そう。
エメラルドは先述した通り「真面目な」教師だ。
仮病は絶対許しません、サボりに使うなんて以ての外!此処を立ち入れるのは何かしらの怪我と病を携えた子だけ!というのがモットーである。
現にそれを発動しているのだろう、保健室にはパール以外の患者はいなかった。割と普通なそれを、パールは今回珍しいな、と思った。
その理由は単純明快。「エメラルドの保健室のベットは、最高の眠り心地」という事実が、生徒を飛び越えて教員陣にまで認知されていたからだ。
毎日早く学校に来ては外の物干し竿に布団をかけ、少なからず太陽の光に当てるだけではなく、毎日シーツは取り替えて隈なく掃除。
綺麗好きではあるものの、潔癖症とまではいかないエメラルドがそこまでする理由は「患者の為」という事に他ならない。
少しでも綺麗な場所で体調を整えて貰いたい、という優しさが少しズレた形で広まってしまった事は否定できないが、それでもエメラルドはサボろうとする人間は人目で見抜いては断罪した。
それでも毎日毎日、少しでもベットで癒しを得ようとする生徒…偶に教師でさえあれやこれやと仮病や小さい怪我を作っては保健室へと赴いていく。

そんなガードが固い保健室だが、1つだけ。そう、1つだけ保健室を自由に使う方法があったのだ。

「ん、まぁこんなモンでしょ。今日はあんまりその指使わない事ね。また傷開いてもしらないから」
「おー、ありがとなぁ。…でな、ラルド。もう1個頼みあるんやけど」
「 却 下 」
「即答せんでもえぇやん!頼むから1時間寝せてや!」
「ばっかじゃないの、教師が保健室をベットルームにしないで頂戴!」
「ちゃんと持ってきたから!“アレ”!」
「…!」

アレ、の言葉にエメラルドの耳がピクンと反応したのをパールは決して見逃さなかった。
にやりと嫌な笑みを浮かべながら懐を漁って出て来たのは、小さい掌サイズの兎のぬいぐるみ。
パールの手作りであるそれはピンクをメインにしたもので、細かいリボンや手触りすら拘っていた。
実は結構な自信作であるそれを、わざとらしくエメラルドの前でフラフラと振ってみる。
するとパールの想像通りにエメラルドはただまっすぐそのぬいぐるみに視線を向けて離さない。

「な、これあげるからベット貸してぇな」
「しょ、しょうがないわね!1時間だけだからね!」

エメラルドはぷりぷりと怒ったような表情を見せながらパールの手元のぬいぐるみをバシッと奪えば、自分の机までスタスタと戻って行く。
その様子を微笑ましそうに見守った後、よっこらせとオジサン臭い掛け声と一緒にパールも腰を上げてベットの方へと向かう。
最後にチラリと見た時のエメラルドの表情は至極幸せそうで、つんつんとぬいぐるみを弄ったりして遊ぶ年齢不相応な行動が、とても自然に見えた。



***


「コラ、さっさと起きなさい1時間経ったわよ。早く起きないと校長にチクるわよ!」

きっかりと1時間後。エメラルドは思いっきりパールの布団をひっぺ剥がした。
学校お墨付きのベットはそれはもう最高の寝心地で、冬の朝並に目を覚ましたくない!と思わせる程。
はぁと大きな溜息と共にむくりと嫌々起き上がるパールは、もう1個ぬいぐるみを持って来れば良かった、という後悔に駆られていた。

いや、もう面倒臭いから近くの小物屋でも走って適当に買って来よう。今はただあのベットが恋しい。
パールはそう心に決め、懐の財布を片手に保健室を飛び出していった。
勿論パールがそんな事を考えているとは知らず、唐突にも感じるその行動にエメラルドは目をぱちくりと瞬かせる。

こうしてまた保健室のベットを巡って1人、また1人と、お財布が寂しくなっていく1人に近付いている事をパールはまだ知らない。




翠の城を攻略せよ!

(こうしてまた、エメラルドの城のぬいぐるみは増えていく)
(生徒のお財布とぬくもりを引き換えに!)
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