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君を何も無い所に閉じ込められたなら、
(めちゃくちゃに壊す事ができたなら、)
(BGM:壊セ壊セ/ ユーキ(E.L,V,N))
(義兄妹のパロディ話。嫉妬と破壊に狂ったおにいちゃん)
人を殺す事について、1番てっとり早い方法といえば。
個人的には、それは“飲み込ませる事”だと俺は思っている。
人間というのは内部は案外脆いものだ。例えば灯油を飲ませたら人はどうなる?大半は死ぬだろう。
よくあるミステリー小説で飲み物に水酸カリを仕込んで毒死させる、というのはよくある話だろう?
しかし王道というものには必ずそう呼ばれる所以があるものだ。水酸カリの話もそうだ。
ミステリーにとても仕組みやすく、尚且つトリックに結びつける方法も多種多様。要するに話を作り易いのだ。
とまあここまで自分勝手な考えを主張したが、正直何の意味もない。
何故こんな話を始めたのかと言えば、それは目の前にいる自分の義妹がミステリー小説を読んでいた。
ただそれだけの理由だ。よく馬鹿だの単細胞だの単純だの餓鬼だの酷い謂れをしている俺だが、
案外深い事を考えている事をこれで分かって貰えただろうか?まあ実はレアな話だったりするが秘密だ。
結論を言おう。俺はとてつもなく暇だった。
退屈というものは人を殺す、と原色頭の俺の悪友も言っていたが、まったくその通りだ。
何もする事がない。お陰で俺は変に哲学的というかミステリー観というかそんな物を考えてしまった。
もだもだと俺が退屈に苛まれている中、目の前のソファに座る俺の義妹は無表情に……、
しかし長年アイツの表情を見ている奴なら分かるだろう、とても嬉々とした様子で小説を読み込んでいた。
「……なぁルビ、」
「なんですか」
何となく声をかけてみれば、愛想の無い返事が返ってきた。変に律儀だ。
「……いや、なんでもねぇわ」
何となく、本当に何となくだが気まずさを感じて。俺は視線を一度逸らしつつそう話を切った。
ルビーはといえば少し不思議そうな表情を一瞬浮かべた後、そうですかと言って視線を小説に戻した。
再び完全に小説の世界に入り込んだのを見計らって、俺はルビーに改めて視線を向けた。
(……なんつーか、美人、だよなぁ)
ルビーは初めて出遭った頃から綺麗な顔のつくりをしていた。
鎖骨に疎らに当たる黒い髪は俺と同じ色の筈なのに違う輝きを見せていた。シャンプーも一緒なのに。
親が北欧の人間だからだろうか。肌はとても白くて、食生活はきっちりしてるからさらりと綺麗。
その中で一際映えるその紅い瞳がとても印象的で。吸い込まれそうになる錯覚すら時折覚えてしまう。
コイツはその紅い瞳が少しコンプレックスみたいだけど、俺は逆に誇って良いと思う。ミステリアスだ。
目の形は少し鋭いけど、常に無表情であるルビーには逆にそれが似合っていた。引き締まった口元も。
服装は大体スーツ。俺が仕事用に買い与えたのが最初だけど、まさか半私服化するとは思わなかった。
違いといえば、奇数の日はパンツタイプで、偶数の日はスカートタイプというだけだ。何着持ってるんだが。
奇数の日はちょっと安心する。足元の露出が少なくて人の目を奪うことが少ないから。
でも逆に偶数の日は常にハラハラ。だって唯でさえ色白で細身なのにそれを露出するって!心配すぎる。
ただ数分見つめていただけなのに、ここまで発想を膨らませられる俺は天才なのではないだろうか。
我ながらシスターコンプレックスを抱いている事は否めないが、その欲目を引いても美人だと思う。
対して俺は頭は常にボサボサ、瞳は青いし服装もゆるめ。真面目なんかじゃないし忠誠心も皆無。
強いて似ている部分を上げるならば色白と細身と黒髪、名前が宝石…というぐらいしか浮かばない。
今あげた4つさえも、同じ共通点を持っている奴は大勢いる。兄妹の“似ている”にはならないものばかり。
それに気づく度に“本当に俺と血がつながっていないんだ”と思い知らされている事を誰が知っているだろうか。
「……義兄さん。なんですか一体。ずっと人をジロジロと見て」
いい加減…いや、この様子から見ると最初から俺の視線に気づいていたんだろう。
ルビーが白い視線を俺にぶつけてきた。ああ、無表情で口調が淡々としているからこそ痛い。
「いや、なんでも―――、」
ねぇ、と続けようとした瞬間。
ピロリロリンッという音が部屋に響いた。そして続く振動音。言わずもかな携帯の着信音。
俺のものではない。俺の着信メロディは有名な某お菓子のCMのメロディに設定してあるから。
ルビーの携帯という事は言わなくても分かると思うが、俺の知っている着信メロディとは違った。
コイツはほとんど初期設定のままだ。着信メロディも待ち受け画面も。メールアドレスしか変えてない筈。
しかし、俺は聞かずとも分かってしまった。ああなんて要らないこの勘。
「……もしもし、何か御用ですか?」
あ、声がさっきより弾んでる。表情もほんの、ほんとうにほんの少しだけ明るい。
なんでだろう。普段なら何とも思わないのに。というか日常茶飯事だし。今更思う事もないのに。
「あ、はい…、今行きます」
なのに。
「……義兄さん、私ちょっと行って来ますね」
なんでこんなに胸糞が悪いんだろうか?
「…義兄さん?」
普段ならすぐに反応する俺が黙って俯いている事に何か感じたのか。
少し訝しげな目で再び俺の事を呼んでくる。ああなんて白々しい。なんだこの感情は。
「どうせ旦那の所だろ?」
「え、あ、…そう、ですけど、」
自分でも吃驚するぐらいに低い声が出た気がする。声というものは素直なものだ。
気持ち悪い気持ち悪い本当に気持ち悪い。なんだこのドロドロしたうざってえモンは。
コイツと旦那が出来てるなんてとっくの昔に知ってる事で、俺もそれはちゃんと受け入れてて。
つかそもそもコイツの1番は初めて会った頃から俺じゃないなんて分かってるのに。識ってるのに。
「義兄さん、どうしたんですか?なんだか変、ですよ」
そう言ってルビーは俺に手を伸ばす。
なんでだろ。そんな些細な行動にすらイライラする。ルビーに苛立つなんて初めてだ。
俺はそれを引っ掴んで、ソファに押し倒してやった。俺が初めて見る程にルビーは大きく目を見開いた。
抵抗する前に俺はルビーの両手を一緒くたに纏めて片手でコイツの頭上に固定する。何て手捌き。
ははっ、誰も来るなよ、マジで。
「……義兄さん、いくら私でも、そろそろ怒りますよ」
「うっせぇよ」
びくっと俺の下にいるルビーが震えた気がした。
多分コイツから俺の表情は逆光で見えないんだろうな。無意識に俺は目を細めた。
さっきも言ったが、俺はシスコンだ。それは認めよう。だからルビーに手荒い真似などした事がない。
(あー、ほっせぇ)
久しぶりにしっかり掴んだこいつ手首は本当に細かった。両手首一緒でも細い。簡単に片手で纏まる。
俺も細い細いってよく言われるけど、やっぱり女の細さには適わない。それでもコイツは細すぎる。
コイツはこんな細い身体であのとんでもない量の仕事をこなして、表裏どちらも手抜きしないで。
旦那のサポートをしながらしっかり俺ら裏専門のシフトも割って、報告も全部預かって。
俺が久しぶりだ、と思ったこの感覚を、あの男は…旦那は何時でも味わっているのだろうか。
(そんな事考えて何になるってんだ。二人は主従で恋人だろ?上司で部下。義理の兄である俺には何ら関係もねぇ話だ。そう何も関係がない。俺は健やかに義妹の成長を見守ってるだけで良いんだ。ルビーだってもう成人なんだから。俺は静かに、そう何の波音もなく)
義兄としてやってはいけない事をしている自覚はあるのだ。しっかりと。そりゃもう痛いぐらい。
でも俺は未だに手を離せなかった。ルビーの無表情の中に、ゆっくりと恐の感情が侵食していくのが目に見えてきた。ああ、コイツもこんな表情できるんだ。
「…義兄さん、お願いです。放してください」
あ、ちょっと瞳が揺れてる。そんな顔も可愛いなぁなんて…いや待て俺は変態かよ勘弁してくれ。
ルビーの瞳に映る俺の姿は、我ながらとても滑稽で醜かった。
嗚呼、コイツは今何を考えてるんだろう。良くも悪くも俺の事を考えてくれてるのか?
それともこーゆーのは旦那にしか許せないってか?あー、多分そっちのが近い気がする。
そう思ってまたムカムカしてきた。何て自分勝手な俺。それも今更なのだけれど。
ふと、要らない声が脳内に響く。壊してしまえ、と。
突拍子が無さ過ぎるだろオイ、と俺は脳内の声に対して返事をするが何も返ってはこなかった。
代わりに響くのは壊してしまえという言葉だけ。まるで悪魔の囁き。でも代わりの天使なんていやしなくて。
壊してしまえ。
それだけが響く、痛いぐらいに。
ルビーは俺の物じゃない。俺の物だと思った事すらない。
だってコイツは旦那の、そして、スウィンの、…あ、もしかしてこれってジスと同じ心境?
あー、もう面倒くせぇ。何もかもだりィ。何も考えたくない。糖分食って寝たい。
気付けば脳内に嫌ってくらい響いていた声は聞こえなかった。それどころか、何もかもが。
「にい、さん、」
「 」
俺はその白い首筋に思いっきり噛み付いた。
オプティミズムは涙した
(退屈は人を殺す)
(飲み込んだ血は甘かった)
(噎せ返って吐き出したくなるくらいに)
(―――なんて下らない)
(*間違っても恋愛感情ではないです。例え義理でも家族を横取られた故の嫉妬。
これはパロディだけど、本編でこういう事が起こっても可笑しくない程には破壊に対して狂ってる男)
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