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(火野→瑠華ちゃん話
本編とは関係ない捏造妄想話でっす。
衝動の赴くままに書き殴ったので纏まりが無い上に非常に読み辛いです申し訳ないorz)
最初は紛れもなく真っ直ぐな憧れと、ちょっぴりの羨望だった。
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私は我ながら、物欲とか、何かを手に入れたい欲求なんてものが薄い女の子だった。いいや、正しく言うと欲求が薄いんじゃなくて、諦めが良すぎたといった方が近いのかもしれない。
地味な性格、地味な容姿。背丈は妙に高くて男の子と並んでも遜色がない高さだけど、たったそれだけ。自分からぐいぐいと目立ちに行こうとするタイプでは到底無いし、背丈に驚きの眼差しを向けられることはあっても、それは女子でありながらそれに比例しない高身長に対するだけであって決して私自身に興味の目を向けられることはない。料理が好きなだけの、どこにでもいるような平々凡々な女の子。それが私。
そんな自分を悲しいくらいに分かっているから、手に入らないことに絶望してしまうくらいなら最初から望むことなんてしない。そう考えるようになったのは何時頃からだったか。自分から手を伸ばさなければ全てが円満に回るのだと気付いてしまった日のことなんて、もう覚えていない。“自分”から手を伸ばさなければ。たったそれだけで全てが円満になると私はただただ信じていた。でも人生というのは、何が起こって何が正常に起動して何が狂っていくのか、分からないからこそ奇異なものだと私は後々思い知る事になる。
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鴻上高校に進学した私。平々凡々に進むと思い込んでいた毎日は、突然その形を変えてしまった。
「笑風! 部活、一緒に行きましょう?」
放課後、部活に向かおうとした私に掛かってくる甘い声。それに釣られるように振り返った先に見つけた姿に、私は思わず口元を緩めた。
「瑠華ちゃんっ、うん、一緒に行こう」
お人形さんのような愛らしい容姿、人好きのする懐っこい性格。きっと料理研究部に入らなかったら私なんかが関わることもないような、世界中のお姫様を集めて1つに凝縮したらこんな風になるんじゃないかって―大仰かもしれないけれど、私は割りと本気でそう思っている、女の子。そして言い換えると、私の理想がぎゅっと詰まった、女の子。
切欠なんて分からない。でも気付いたら瑠華ちゃんは私を見かけたら声をかけてくれるようになっていたし、私も瑠華ちゃんを見かけたら自ずと声をかけるようになっていた。何気ないお話をするのが楽しくて、その鈴の音のような声に耳を傾けている時間が幸せで、私は高校に入って初めて、人生で1番幸せな立ち位置に立てたような気がした。
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「―…、くーちゃん、を、」
まさか、の一言に尽きる話だった。瑠華ちゃんが、私の従兄妹のくーちゃんに恋をした。
いつか瑠華ちゃんが恋をする可能性を考えたことがないわけじゃなかった。寧ろいつでも応援してあげられるように覚悟すらしていた。でもそれはあくまで、私とは余り関係が無い人だった場合の話で。くーちゃんは従兄妹で、身内で。そして何よりよく知っている人で。頭は疑問でいっぱいだった。
(なんでなんでなんで?なんでくーちゃんなの?瑠華ちゃんに似合う人なんてもっともっと沢山いるよ?くーちゃんなんかには勿体無いよ!やだやだやだ、なんで?なんでくーちゃんなの?くーちゃんじゃなかったら素直に応援できたのに!笑顔で背中を押す事ができたのに!やだ、やだよ嫌!)
くーちゃんじゃなかった、ら。きっと私は背中を押せた。瑠華ちゃんが選んだ人なら、素敵な人に違いないって。瑠華ちゃんを信じて背中を押せた、はずだったのに。くーちゃん。私の従兄妹。きっと現時点なら瑠華ちゃんよりも私の方が余程くーちゃんを知ってる。知ってるからこそ、嫌だった。それでも私は臆病者で。素直に気持ちを言う事なんて出来なくて。強引に自分を押し殺して口を開いた。
「びっくりしたけど…、くーちゃんのことなら知ってるし、何より瑠華ちゃんの恋なら応援するよ」
嗚呼、私はうまく笑えていただろうか。
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物は考え方なんだと思う。私の今の立ち位置は、きっと好きな人の従兄妹で同じ部活のそれなりに仲良しな女友達。言い方は悪いけれど、瑠華ちゃんにとってとても都合の良い子でいれているはず。お世辞にも前向きとは余りいえない性格だって自覚があるけれど、こればかりはそうやって考えないとやってられない。前向きに、前向きに。私ってここまで前向きに考えられたんだって吃驚しちゃうぐらいに、前向きに。でもやっぱりそれは突貫工事めいたもので、ちょっとの衝撃で簡単に崩れてしまうものだったのだと思い知る。
「――…、」
よーちゃんに頼まれてくーちゃんに会いに行こうと、くーちゃんがお気に入りの場所としている中庭。いつも決まって、その一番奥の樹に寄りかかって携帯を弄っていたりゲームしていたりする。10回に1回はお友達が一緒にいることもあるけれど、大抵は1人。1人でいようとする、1人でいたいと思うその精神は、理解は出来るけど納得は出来なかったり、なんて。きっと今日も1人で携帯でも弄っているのかと思って遠目から奥を覗いて見ると、視界に僅かに入ったのは予想外の甘い色。
「…、瑠華ちゃん…?」
私やくーちゃんとは違う、甘さを含んだ茶色。私がこの世で1番好きって言っても過言じゃないくらい、大好きな甘さ。よく目を凝らすとその向こう側には見慣れた濃緑が見える。でも今はそれを気にしている場合じゃなかった。何よりも目を惹いたのは、瑠華ちゃんの表情。私が見た事もないような、楽しそうな、…今まで見た中で1番可愛いって思うような、笑顔だった。
(そう、だよね。曲りなりにも好きな人と一緒にいれたら、嬉しいよね。笑顔にだってなるよね。恋する女の子は可愛いって誰かが言ってたもん、只でさえ可愛い瑠華ちゃんが恋をしたらもっともっと可愛くなるのも、当たり前)
(…、いいなぁ、くーちゃん。あの笑顔を今独り占めしてるんだよ、分かってるの?きっと分かっていないんだろうな、へたしたら失礼なことすら考えているのかも。ああもったいない、もったいないなぁ。羨ましい羨ましい!私にあの笑顔を、向けてくれれば良いのに。……あれ?)
(―私は今、何を考えていた?)
居ても立ってもいられなくなって、気付いたら私は中庭に背を向けて寮の自室へ一直線に走っていた。
■■■
しばらく私は布団に包まって、声を殺して泣いた。嫉妬心に、満たされない恋心に、そして何より罪悪感に。だって私は気付いてしまった。私が彼女へ抱くのは只の羨望や憧れだけじゃない。それ以上に強く強烈な恋心。ううん、本当はもっと前から気付いていたのかもしれない。それから目を逸らしたのも紛れもなく私で。だって女の子を好きになるって、そんな、まさか。
「ごめんなさい、…ごめんなさい」
想うだけなら、許して貰えるだろうか。言わなければ、欲しいと願わなければ、傍にいられるだろうか。自分から手を伸ばさなければ、笑顔を向けて貰えるだろうか。…大丈夫、昔から私は、我慢することが得意だから。伸ばそうとする手を縛り付けるなんて容易いこと。きっと明日には、いつもと変わらない彼女の親友でいられる。彼女の背中を、押す事ができるはず。
だから、今だけは貴女を想って泣くことを許して下さい。
背徳感に背を向ける
(私は知らなかった)
(恋というものは本当に厄介で)
(傍にいるからこそ止められなくなるものがあることを)
(私は、まだ知らなかったんだ)
――
蜜樹ちゃんと話していて高まってしまった百合話の火野Ver。まだ新名くんとそこまで面識がない頃。
火野はにぶちんだから、瑠華ちゃんから水樹の話を聞くまでは純粋に瑠華ちゃんを敬愛して、
尊敬して、…って感じでちょっとした嫉妬心も友情からくるものだと勘違い。
瑠華ちゃんを好きになった火野はほぼ確実にヤンデレ少女に変貌。
第三者の同性愛には何の偏見もないのに、自分がそうなると平凡を大事にする火野だから混乱して、
そんな目で見てしまうことに強烈なぐらいの罪悪感に襲われる。そして強引に蓋をする。
元々我慢強い火野だから辛抱強く普通の親友を演じる。それでも募る想いに嫌気がさして、
そして同時にそんなやましい気持ちで瑠華ちゃんっていう自身の中の聖域の傍にいる自分が嫌で、
新名くんとも仲が良くなって「この人を好きになれたら楽になるのになぁ」ってふと思っちゃって、
そこから新名くんへも「大切な先輩に対してなんてことを!」って猛烈な罪悪感が沸いちゃって、
自傷癖が身に染み付き始めて…と負の連鎖になっていく。人には絶対手を出さない辺りが火野。
背中を押すって心では思うのに、どう頑張っても水樹を認められない辺りも本編火野とは違う所。
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