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同僚が、死んだ。
理由は簡潔。同じ道を歩む他組織の人間を標的した結果の返り討ち。
その同僚がムードメーカーの位置にいた事もあって、どこかしんみりとした雰囲気が組織に広がった。
でも、こんな事珍しくないのだ。何時死ぬかなんて分からない居場所。
誰もが死んでも可笑しくない何かを抱えているのだ。
今回は運良くそれが自分じゃなかった、それだけ。
しかし、さして珍しくも無いその理由に、本気で哀しんでいる少女がいた。
「うぅっ……うぐっ、ひっく……っっ」
1つの部屋から、止め処なく溢れ漏れてくる嗚咽としゃくり声、そして涙。
ベットに膝を抱えて、何度も何度も死んだ同僚の名前を叫ぶように、呟くように呼ぶ。
悲哀満ちた光景に堪えられなくなってきた何人かの同僚が慰めようと、
少女の部屋に入ろうとしていた所を、先程から少女の部屋の入り口に立つ2人の男女が止めた。
此処は自分たちが行くから、と先程から何度も言っている言葉をその同僚に投げ掛けて戻って貰う。
しかし2人はその場から動く事もなく、黙って少女の泣き叫ぶ声を聞き扉の入り口に門番のように立っている。
「…ねぇラルド、」
「何よ」
声を掛けられた女の表情は仏頂面そのもので。応えた声音も、普段の女の声より一段低いそれだった。
そんな自分の不機嫌を隠すつもりがない様子の女に男は思わず苦笑をして、やれやれと首を左右に振る。
「後悔してる?」
「何を?」
「分かってる癖に」
天井を仰ぎながら戯けたように言う男に、女は呆れたように息を吐く。
一瞬訪れた静寂に、少女の小さな泣き声だけが響いて、女はもう一度溜息を吐く。
そしてぽつりと、独り言のような声音で呟いた。
“優しくて可哀相だわ”
(優しいあの子に、この世界で生きろなんて酷過ぎる)
(分かっているのに、元の場所に返してあげられないなんて)
(分かっているのに、その性格を捻じ曲げる事しか出来ないなんて)
(私達はなんて無力なのだろうか!)
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