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ゆめを見るユメを視る

某掲示板サイトでの我が家の阿呆共のどーでもいいお話。

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Calling

 あの音が 頭にこびりついて 離れない




(何時ぞやかのうた姉さん家のアドルフ君と戦闘絡みをした時に出来たその後捏造。
僕の精神力が脆過ぎるせいでレスを蹴っちゃったんで…!orz
あの後ラズリはこうなったんだよ、っていう捏造というか後日談というか。
ただアメジストとラズリが電話してるだけです。タイトルそのまま。それぐらいシンプルな話です。

アメジストにとってラズリは素直に“友達”とハッキリ口にする唯一の人。
仲良しな人は色んな意味で沢山いるけど、素直に言えるのはラズリだけ。理由は分からない。
その他の人には好意とか、懐いてるとか、興味とかそれなりに気をかけてても友達って言わない。
意地でもあり、自分の中で勝手に引いてるラインでもある。よってサードは懐いてるけど友達ではない。
ふざけて「親友☆」とか言うけど、実際はそんな事ちっとも思ってない。懐いてるし好きなのは本当。
サードも本気で言ってないって分かってるから受け流してる。そんな曖昧な人間関係が普通なんです。
変に歪んでて面倒な奴。だからラズリはある意味、アメジストにとって凄い貴重。唯一の友達。

暇潰し程度に追記よりどぞ。のうた姉さん宅のアドルフくんをお借りしています)



『やぁラズリ、ズッタズタのボッロボロのギッタギタのボロ雑巾のようになったんだって?』
「あっはは、死ねよ」

夜中に突然響いた黒電話の着信音。それをラズリが耳に当てれば聞こえてきた第一声。
涼やかな声音とは裏腹に並べられた言葉。ぼんやりとしたラズリの頭はハッキリ覚醒し溜息を作る。
イラリとした感情を浮かべながらも逆パカしたくなる気持ちを抑え、明るい声音でラズリは返事した。



                   Calling



『久々に話した友達相手に死ねよとは、いつもながら手厳しいねぇ』
「一旦アンタの口縫ってあげようか?アタシって実は結構手芸上手いんだよ」
『まったまたぁ』
「切っていい?」
『つっれなぁい』
「ばいばい」
『うそうそ。切らないでよラズリ、“誰かさん”が仕事とやらで全治2ヶ月以上の大怪我したお陰で、
 1週間も前から約束してた飲み会キャンセルになって暇なんだよ、俺。“誰かさん”のせいで』

いちいち面倒臭い言い回しをする奴だ、とラズリは常々思う。知ってて友達をやっている訳だけど。

ラズリは大怪我をした。大怪我といっても一概には言えないが、とりあえず仕事でヘマをした。
絶対に目撃されないように、と強く言われていた仕事だったのに、見知らぬ青年に目撃されてしまった。
それだけでも珍しい事だったんだが、しょうがなしに始末しようとした青年がこれまた同業者という事に気付けなかった。
否、途中で嫌でも気付かされたが、その時にはもう時遅く。武器の相性が悪かったのも有るか知れないが、全治2ヶ月以上の怪我を負った。
メリケンサックを嵌めた拳を馬鹿正直に受け止めた左腕はすっかり使い物にならず、少しでも身を守る為に無理な滞空を強いた身体の筋が何本か切れ、
挙句に普通に殴られた頬も男の力によって真っ赤に腫れた。ついでにその時に歯が何本か飛んだ。おまけに気に入っていた簪も血に塗れた上紛失。

27歳女性が受ける怪我にしても、かなり大きな深手を負った。正直、頬を殴られてから意識が半分飛んでて記憶がない。気付いたら屋敷にいた。
その時のパールの驚きと焦りに満ちた表情と、ルビーが珍しく大声を出して医療班を呼んでいた事だけは何故か鮮明に覚えている。
目を覚ました時、ラズリは自身がよく生きていたと思わず褒めてしまった程だ。きっとあの男だったら、それこそボロ雑巾のようになったラズリを殺す事も容易だった筈なのに。

(多分、命からがら逃げて来た、って感じかな。覚えてないけど)
『で、どんなだったの?』
「は、何が?」
『君を見事なボロ雑巾にした相手さ。最悪の場合でもパルクールで簡単に壁這って屋根伝いにでも何でも逃げれる君がそこまでなるなんて珍しい事じゃない』
「あー…どんなだったかねぇ。あ、でもちゃんとフラグ立ててたよ」
『フラグ?何ソレ。っていうかそもそもフラグって何?』
「“見られたなら仕方がない、死んで貰おうか!”って」
『…フラグってのはよく分からないけど、やられ役全開な台詞は吐いてたって事だね』
「そゆこと」
『あははは、馬鹿だねぇ』
「うるさいな」

馬鹿にするように笑うアメジストの声に腹立たしさは感じるが言い返す言葉が見つからない。
今思えば、本当あの台詞言ってよかったのかも、と少し強がり程度にラズリは思った。
未だ笑い声が響くそろそろ精神衛生上の問題で電話を切ってしまおうか、と思っていた中、
“そうそう”なんてアメジストが話を切り出してくる。ラズリは面倒そうに眉根を寄せつつ素直に“何”と返した。

『丁度君が怪我したから飲み会無理ってメールして来た日さぁ、ちょっと知り合いに会ったんだ』
「……ふぅん?、で?」
『そいつも同業者でねぇ、まぁ強いんだよ、普通に。なのに何かやけに傷をこさえててね。
 多分俺なんてすぐ乗馬鞭で叩かれて死んじゃうぐらい強いのに、一体どこで何をしてきたんだか』
「……乗馬鞭?」
『そう、乗馬鞭。なかなかサディスティックな得物を使うよねぇ。見た目は似合わない好青年なんだけど。
 あ、これが今噂のギャップ萌えって奴なのかな?んー、でも結構その気がある所も有るし、んん?』
「……ねぇ、その人って何か頭きんきら金で何か爪に色塗ってる?」
『塗ってる塗ってる。爪真っ青だよ。 剥げてたらすぐ塗り直すんだもん。律儀っていうかマメっていうか。
 なーんかさぁ俺の周り、手足問わずに爪に色塗ってる奴結構多いんだけどさ、何、今流行ってるの?』

途中からアメジストの言葉は頭に入って来なかった。
脳裏を伝って目の前に広がるのは、見慣れた路地裏。久しぶりにはっきりと感じた恐怖感。
空に浮かぶ自分を待ち構えるように鞭を撓らせる音。爽やかな顔立ちがいきなり凶悪に変わった瞬間。
呑み込まれる、そんな錯覚に襲われた。蛇に呑み込まれる等の類とはまた違う、でも自分が竦む感覚。

それを思い出して肌が粟立った。ラズリは思わず自嘲気味に笑う。

(アタシは、心身ともにガタガタに弱いままじゃないか)

昔の恋人に暗殺者としての身体に作り変えかえられてから、窮地に陥る事は余り無かった。
だから自惚れていたのかもしれない。自分は強いのだと、負けはしないのだと。自信過剰になっていたのか。

(もう27だってのに、情けないねぇ)
『ラズリ?らーずーり、ちょっと、君まで無視しないでよ。そうだ聞いてよ、最近サードが冷たいんだ。
 ラルドは元からだから諦めてるけど、君までそんなになったら俺寂しくて死ぬからね』
「あー、うん、良いんじゃない?」
『ほんっとうに酷いね君は』
「……ねぇジスト、」
『なんだい?』
「アタシ、暫くもうclownの屋敷に遊びに行けないや」
『君の場合は忍び込む、だろう?』
「そうとも言う」
『そうしか言わないでしょ。…ま、何でも良いけどさ』

アメジストはきっと知っているのだろう、自分と相見えた人物が誰であるのか。
多分名前を聞けば教えてくれる。後で情報料と言って金を強要する可能性は高いが、それでも。
しかしラズリは知ろうとは思わなかった。尚且つ、仕返しなどする気は到底起きなかった。
怖くないといえば嘘になる。しかし理由はそれだけじゃなかった。しかしラズリ自身にも分からなかった。

「ま、とりあえずその知り合いとやらに、お大事にって言っておいてよ」
『ははっ、別に構わないよ。余計な事も言っておいてあげる』
「ありがた迷惑って言葉を辞書で引いてごらん。きっとアンタの名前が載ってるよ」

最後まで本当に腹立たせてくれる奴だ、と思いながらラズリはアメジストの返事を待つ前に電話を切った。
口の中が切れてる上に歯が抜けた後にも関わらず沢山喋ったせいか、口の中がヒリヒリした。
きっと朝日が昇ったら、妹のように可愛がってる姪っ子やら、五月蝿い奴らが見舞いに来てくれるだろう。
そんな想いを馳せる事で脳裏にこびり付いた鞭の撓る音を強引に隅に追いやって眠りについた。



     Calling





(……本当、アタシどーやって帰ってきたんだろ)
(…ま、いっか)

(もしまた何時か、あのお兄さんに会う時がやって来たら聞いてみよ)

(怪我の様子は、いかがですか?)(あの夜中の事を覚えていますか?)
(もしかしてアタシを屋敷まで送ってくれたりしてくれたんですかね?まっさかあ!)

(なーんてね)







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